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「胸」が動くようになると滑らかなランニングフォームが生まれる / コーチ 白方健一

METHOD 2016.02.23

 「腕ふりが大事」とは、ランナーであれば一度は聞いたことがあるでしょう。人間が走るときは必ず、脚と腕が連動して動きます。そのため、スムースで滑らかな腕ふりが美しくて効率的なランニングにつながるのです。
 ですが、このページを読んでいるランナーの皆さんであれば腕ふりの重要性は百も承知でしょう。そこでむしろ身に着けるべきなのは、どうすれば滑らかな腕ふりができるのか、ということ。やや前置きが長くなりましたが「それには胸部の柔軟性がポイントとなります」と、白方健一コーチは語ります。「より専門的に言えば“胸椎”動きです。胸椎とは背骨のなかでも胸付近にある12個の骨のこと。なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、かんたんなセルフチェックで動き具合を確認できます。またその可動域を改善するためのエクササイズも合わせてご紹介しますので、滑らかな腕ふりで効率的なランニングフォームを目指しましょう」。

トップギアインターナショナル代表 白方健一さん

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今回の講師はプロ・ランニングコーチの白方健一さんです。ランニングの専門誌などにも多数登場しているのでご存じの人も多いでしょう。藤原 新さんなどトップアスリートのトレーニングにも携わり、ご自身もマラソンやウルトラマラソン、トレイルランニングなどを楽しむ現役ランナーでもあります。白方さんは市民ランナーのフォーム作りにファンクショナルトレーニングを取り入れており、JINS MEMEを使ったフォーム改善セミナーを開催しています。

胸が動くようになると、どんないいことがあるのか?



少々専門的になりますが、白方さんによればランニングをレベルアップさせるにはVO2MAX(スピード練習)、LT値(スタミナトレーニング)、RE(ランニングエコノミー)の3要素をバランスよく高める必要があるそうです。今回教えていただいたのはREを高める、つまりフォームを改善するためのメソッド。そしてフォーム改善のためのアプローチにも複数の要素があるとのことですが、中でもアライメントと呼ばれる骨や関節の配列バランスを矯正していくのです。


そこで胸からのアプローチとなります。胸椎の可動が高まれば、それに連鎖して腕ふりが軽くなります。同じように、肩甲骨の柔軟性が高まればやはり腕ふりが軽くなります。これが滑らかなランニングフォームへとつながるのは冒頭で説明したとおりです。


「腕ふりには肩甲骨の柔軟性もカギとなりますが、そうはいっても肩甲骨を意識して動かすのはコツが必要ですよね。そこで胸の動きを意識することで、連動して動く肩甲骨も含めた腕・肩まわりの柔軟性がアップします」。


実はこのメソッドを行ったからといって、すぐにタイムがアップするというわけではありません。一方でケガの予防には大きな効果があるといわれ、からだの使い方が上手になります。つまり長い目でみればどんなレベルのランナーにも欠かせないファクターなのです。

胸椎の柔軟性を高めるエクササイズ

【胸の動き具合のチェック方法】

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脚を適度に開き、両手をヤジロベーのように広げて直立する。脇の下の開きはおおよそ45度。左右へとからだをひねり、肩がどこまで回るかをチェックする。


「まずは可動域を自己診断。上のイラストのように、まずはからだを左側、反時時計回りに回転させます。限界までひねりきったあなたを後ろ側から見たとき(あるいはミラー越しに確認したとき)、はたして向こう側の右肩は見えるところまでひねれているでしょうか。 それともからだで隠れているでしょうか。同じチェックを反対回しでも行います。多くの人は左右で差があるはずです。
弱点を把握したら、次は動きを高める下のメソッドを試してみましょう。ここでは3つの
手法を紹介します。回数はそれぞれ10回ほどが1セットです。
これらはランニングの前だけでなく、一日の始まりに行えば、からだを目覚めさせる全身のエクササイズになります。肩がこりやすい人はPC作業の合い間などに行ってもよいでしょう」。


【改善エクササイズ1】
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腕を指先までまっすぐに伸ばし、からだの前方へと交互に突き出す。息をはきながら出すのがポイントで、このとき体軸は固定させたまま。上半身が前のめりになるのはNG。専門的にいうと胸椎を回旋させるプッシュ、プルの動きで、とくに引き腕側の胸の柔軟性がアップする。


【改善エクササイズ2】
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直立して腕を上方に挙げ、バンザイの姿勢をとる。そこから両肘を下げていく。この一連の動作を、勢いをつけずゆっくり丁寧に繰り返す。肩甲骨を開閉させているのだ。


【改善エクササイズ3】
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直立して、腕をイラストのように左右対角線上に開く。開ききったら一度からだの前方で左右の手を付け、先ほどとは逆の対角線へと開く。慣れてきたらリズミカルに行ってもいい。体の前でXの字を描くような動きとなるはずだ。このときも体軸は動かさず、腕のみが動くように意識すること。

白方×JINS MEMEセミナー

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白方さんはJINS MEMEを使ったランニング改善セミナーを定期的に開催しています。
取材時はまず、参加者へはRE(ランニングエコノミー)=走りの燃費を高めることの重要性を説いていきました。その基本は体軸のブレを減らし、体軸の延長線上にしっかりと「頭」が乗ること。そしてJINS MEMEはブレ具合の測定がいともカンタンにできてしまう画期的なデバイスだと言います。各参加者ごと、実際にトレッドミルの上を走って測定し、リアルタイムで表示される結果を見ながら白方さんがフォームのチェックを行います。


それからこのページで教わったようなメソッドを、さらに何パターンかを追加して実施し、もう一度JINS MEMEで測定を行うというもの。この日は多くの参加者にスコアの改善が見られました。これはフォームの改善につながったと、客観的な計測・評価ができていることを意味しています。


「市民ランナーの方がサブ4などの高みを目指すための近道は、トレーニングの「質」にこだわること。それは美しく、ケガをしない走りの習得にあります。ケガを予防できればランニングはもっと楽しくなりますし、モチベーションにもつながりますから。JINS MEMEの可能性は無限大。たとえば遠隔地の方へのフォームチェック、測定、改善アドバイスができてしまいます。僕自身、これからどう使いこなしていこうかと楽しみなんです」



(文:礒村真介 / 写真:三浦咲恵 /イラスト:岡田丈)

白方健一(しらかた・けんいち)

白方健一(しらかた・けんいち)

1978年生まれ。東京都出身。トップギアインターナショナル合同会社代表ヘッドコーチ。自身も生涯ランナーをモットーに、ウルトラマラソン、トレイルランなどで活躍。さまざまな市民ランナーのライフスタイルにフィットしたメソッドを提案するかたわら、オリンピックを目指すトップアスリートへのパーソナルコーチングも行う。さまざまなメーカーのアドバイザリースタッフとしての肩書きや、大会主催やランニングクリニックも多数開催し、スポーツ専門誌などのメディアにも多数出演。
渋谷ランクションポイントにてJINS MEMEを活用したパーソナルランニングフォーム指導を実践している。https://runction.storeinfo.jp
トップギアランニングクラブ:http://topgear-rc.jp/