JINS-MEME.FIT

JINS MEMEで実践する集中力マネジメント

REPORT 2016.05.09

この春リリースされたJINS MEMEに対応した3つのiOSアプリ「JINS MEME OFFICE」、「JINS MEME ZEN」、「JINS MEME WALK」。集中力を計測し、鍛えるプロセスを知ることで、より深い集中状態へとナビゲートすることを目的としている。4月13日、JINS MEMEのセンシング技術を活用したこの3アプリのリリースにあわせ『集中力マネジメント』をテーマにしたイベントが行われた。「集中力」を掘り下げるために原宿のJINS MEME Flagship Storeに招かれたのは、株式会社キャンパスフォーエイチの共同創業者を務め、医学博士でもある石川義樹さんと元陸上選手陸上競技400mハードルオリンピック日本代表の為末大さん。ジェイアイエヌのJINS MEME開発担当井上一鷹がパネラーを務め、現代社会における集中力欠如の問題から、集中について先端的な取り組みがなされているスポーツ領域にまで話題は広範囲に及んだ。

過剰なマルチタスクで知的労働者は約25%の時間を無駄にしている

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まずはジェイアイエヌの井上一鷹から、集中力の続きにくい現代の社会状況についてブリーフィングが行われた。現代社会は、様々な情報機器によるマルチタスク化によって効率化されているように見える。しかし、最新の研究によるとマルチタスクと呼ばれるものはあくまで、タスクをスイッチするスイッチタスクであり、複数のタスクを並行処理することは人間の脳の構造上難しいとわかってきている。さらに、他の作業に移って、再び元の作業に戻るには、数倍の時間を要するといわれており、マルチタスクは時間の浪費につながるという。この過剰なマルチタスクで知的労働者は約25%の時間を無駄にしているといわれており、米国で換算すると、年間約9,970億ドルの損失が発生しているという試算まであるのだ。一見遠回りのように見えてもタスクに専念し、きちんと処理をして次のタスクに進む、というシンプルな集中力は、一瞬を無限の時間にかえる魔法となり得る。

集中力を計り、鍛え、歩み寄る

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その現代の魔法=集中力をマネジメントするために開発されたのが今回の3アプリだ。まずは自分の集中力を客観的に計り、可視化することが重要。そのためには「JINS MEME OFFICE」を利用する。JINS MEMEをかけて、スマートフォーンで集中したい時間を選択して、計測スタート。あとは作業に没頭するだけだ。主に瞬きの状態変化から集中状態を定義し、作業中の集中度を100点満点のスコアで表示する。さらに計測時間のうち何分間集中できていたかもわかるようになっている。

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続いて集中力をアップするトレーニングには「JINS MEME ZEN」を用いる。古来より集中力を鍛える方法として、親しまれている瞑想の考え方に基づいて体系化された集中力トレーニングのアプリだ。集中力や創造力など、鍛えたい内容をもとにトレーニングを選択することができる。例えばフォーカスドアテンションという一つの対象に注意を傾けることで、深い集中を促すトレーニング。集中度が増すにつれて小さくなっていく円を見つめながらトレーニングをする。この間、画面を見ているユーザーの瞑想の深さをJINS MEMEが測定し、終了後にはトレーニング結果がグラフで表示されて自分の瞑想状態の特徴を見ることができる。これによって課題を見つけ、さらに集中するためには何を伸ばせばいいかを分析してくれる。

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頭をリフレッシュし、集中に入りやすい状態を作るためには「JINS MEME WALK」を用いる。より集中しやすい状態を作り出すためのウォーキングメニューを作ってくれる。ウォーキングが始まると、フォーム、スピード、ストライドを計測し、ウォーキングをリアルタイムに可視化してくれる。終了後には歩きの質を判定し、100点満点で計測してくれる。ウォーキングの履歴を詳細データとともに振り返ることも可能だ。

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超集中状態=ゾーンを科学する

イベント後半には、石川義樹さん、為末大さんを交えた、トークセッションが行われた。話題はスポーツでよく話題となるゾーンと集中力の関係で始まった。

井上_まずは石川さんより昨今のスポーツ界における集中のマネジメント、トレンドについてお話頂けますか。

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石川_まず、超集中状態=ゾーンというものがどう研究者を捉えてきたのか振り返ってみます。1950年代の旧ソ連でスポーツが国家事業であった頃、選手たちは長い時間一生懸命練習すれば強くなるという思想で鍛えられていた。しかしこの考え方ではけが人や、燃え尽きてしまう選手が続出し、別のやり方で選手のメンタルを鍛えなければということで、スポーツ心理学というものを始めました。

例えば、研究対象とされているのが、テニスの世界です。テニスは1試合のうち、実際プレイしている時間は35%くらいしかない。残りの65%は次のプレイの準備をしている時間です。ジム・レイヤーというスポーツ心理学第一人者の先生が、次のプレイの準備をしているリカバリー時におけるルーティーンの違いを発見した。例えば、ある一流プレイヤーは点を取っても取られても、まずラケットを持ちかえて緊張を取り、コートの端まで歩いて行って、またそのベースラインまで帰ってくることで平常心に戻る。こうしたリカバリーのルーティーンを持っている選手が強いことを発見した。彼はこれを「16秒回復」という概念で名づけました。これはテニス選手のみならず私たちもそうです。仕事をしていて、疲れたり飽きたりするとその時に、どういうリカバリーのルーティーンを持っているかというのが超集中状態に入りやすいかそうでないかの違いになってくるんじゃないかと思います。

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ウイングスーツという崖の上から飛び降りるエクストリームスポーツがあります。こういうスポーツをやる人は、毎回毎回ゾーン状態に入っていることが知られています。見ているだけでも脳に緊張が走るんですけが、彼らは逆にゾーン状態には入らないと死んでしまう。こういう選手たちを研究してどうやって集中状態に入るのかってことがだんだんわかってきました。

それには4つのステップがあります。まず、最初に強いストレスを感じないと人は集中状態に入らない。例えば私たちでいうと締め切りというストレスがあると集中しやすいんです。強いストレスを感じるのがまず1。

次に、ストレスを感じた後、一気にリカバリー、リラックスしないと人の脳は集中に入れない。これが2。締め切りでやばい、やばいって感じてるだけだと、なかなか集中できないんですね。まぁできなくても死ぬわけじゃないしという、開き直りがあると、リラックスするんですが、ストレスとリカバリーを短期間に一気に集中すると脳っていうのがいろんなドーパミンだとか、ノルアドレナリンとかがでてゾーン状態に入りやすいといわれているんです。

3はゾーン状態を続けるために適切な目標行動です。仕事を仕上げるという結果にではなく、プロセスに集中して適切に行動しながら、それが上手くできるかどうかっていうフィードバックが4。

これがあるとゾーンには入っていられるんですね。今まではフィードバック機能というところはデバイスとしてもなかったんですが、今回JINS MEMEが集中したのかをフィードバックしてくれるというところなのかなって思っています。

こういう4ステップあるんですけど、為末さんご自身の経験と照らし合わせていかがですか?

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為末_僕らの言葉で訳すと、1はオリンピックでメダルを取りたい、でも取れなかったらどうしようっていう緊張状態ですね。2がそうはいってもスタートレーンに立った時にパフォーマンスするしかないよねっていう時に、思いっきりフォーカスがぎゅっと絞られてレースに集中したっていう状態です。3、4というのはもしかしたら球技とかの方が強く出るのかもしれないです。僕らはやっぱり1、2がゾーンに入る時にすごく強調される感じはしますね。3、4。まぁ弛緩するというか流れ込む方法が決まった瞬間に、集中がそっちに向かうっていうのは感じますけどね。

オフィスワーカーにも集中力のKPIが必要な時代

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石川_超集中状態に入るためには自分にストレスをかけなきゃいけない、そこからリカバリーするための方法として、「JINS MEME ZEN」のようなアプリが有効だと思います。実際、仕事をしているときには仕上げるんだっていう結果を意識するのではなく、どういうプロセスでやるんだという行動を設定しながら、ちゃんと集中できているかな、というフィードバックをもらう。そうすると現代人は集中に入りやすくなるんじゃないかなと思います。

井上_JINS MEMEを使って、アスリートが100mだったら、10秒後、20秒後にはどれくらい自分が集中できたかとタイムにでますと。だけどオフィスワーカーは意外と自分がどうなったかって結果を日々振り返るようなKPIがないので、それを見るのはすごく意味があることだと思います。

フィードバックがあることで仕事の組み立てが可能になる

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石川_ゾーンの研究をする人たちがみんないうのはフィードバックが一番大事だということ。目標設定をするときに人が忘れがちなのが、どういうフィードバックをもらうのかというところを、意外と設定しないんですね、目標は設定するんですけども。

為末_僕らの仕事にはいろんなパターンがあって、取材で聞かれたことを、答えるタイプのもの、クライアントに提案するタイプのもの、打ち合わせといろんなタイプがあります。違う種類のものが入ってくるとなんとなくパフォーマンスが落ちている感じがすごくして、できるだけ統一してくれといっています。社員に説得材料としてJINS MEMEをかけて、ほら見ろ俺の集中が落ちているじゃないかみたいなことができるといい。要はパフォーマンス、僕らの世界だと何秒ってわかりやすかったんですけど、仕事の世界ってわかりにくいじゃないですか。そのときに結局どの組み合わせでやると一番パフォーマンスが高いのかと説明する理由の一つにあったらいいなと。

石川_実際、我々もこのアプリを作って日々使っているんですけど、この曲聞いているとき自分が一番集中できるとか、実は会社にいるよりルノワールで仕事した方が集中できたとか。自分のルールを作っていける。すごく楽しいし、組み上げられるのでやっぱりフィードバックがあると、本当に思考が高まります。

為末_1ヶ月遊んでいてもいいから、1時間で何年間の利益が全部得られちゃうようなアイディア出してよ、みたいなパフォーマンスを求められる時代なわけじゃないですか。人口知能もあるわけだし。そう考えたときに100人くらいいる社員の1人の人の集中がどかんと深く入るってことが結局会社にとって最も大きい。JINS MEMEってアイディアが生まれた瞬間ってそういうことだと思うんです。昔の労働観では、安定的なパフォーマンスを1日10時間出してよっていう世界だったのが、これからの知的労働は、その深さで滞在していってくれないとそもそも後のことは全部人口知能がやってしまう。ここに来てくれないと、労働にならないよね、みたいなそういう時代がくるんじゃないかなって気がするんですよね。

井上_真剣な集中って1日に4時間くらいしかできないって言われているんです。4時間の集中以外はリカバリーの時間という風に割り切った方が本当はいいと思います。これだけクリエイティブなことが求められる時代は。

為末_なんの仕事をその4時間に充てにいくかということを、真剣に考えるようになるでしょうね。

(文:松田正臣 / 写真:久恒あんな)